様々な竹の種類《銘竹》
地球上に多様な人種があり、そして人に様々な表情があるように、竹にも色々な種類・表情があります。
白竹 Shiratake
真竹や孟宗竹は熱湯の中で煮込む(湿式)、または火で焙り油を滲み出させる(乾式)「油抜き」の後、直射日光下での乾燥により白竹と総称される竹となります。真竹由来の白竹は銘竹の中で最も一般的であり、多用途に使用されます。白竹は竹のありのままの美を映し出す竹とも言え、その柔らかな色合い、簡素さ故にどのような空間にも調和します。飴色への経年変化も愛着を生む特徴です。白竹は日光に晒されて生まれることから、晒竹(さらしだけ)とも呼ばれます。
真竹青竹 Madakeaodake
古く中国から伝わったとされる代表的な竹の一種です。しなやかで弾力性が高いため竹籠、茶道具等の竹細工から建材まで幅広い用途に用いられます。エジソンの白熱電球に京都の真竹が使用されたことも知られています。食べると苦いことから、「苦竹」とも呼ばれます。
黒竹 Kurochiku
成長するにしたがって緑色から黒褐色に変化する竹。稈の直径は2〜3センチ程度、高さは3〜5メートル程の比較的小型な竹で、竹林で伐採される時には既に渋い黒色となっています。主に竹細工などの工芸品や装飾用に使用される他、庭園での植栽にも使用されます。
煤竹 Susudake
日本の伝統的生活様式の歴史を味わい深い美として楽しめる、大変貴重な竹です。茅葺・草葺屋根の建材として使用されていた竹が囲炉裏の煙で長年に渡り燻され続け、その後約150年以上経過すると、繰り返し煤が付着した部分は光沢のある深い色艶の茶褐色となり、一方縄で括られていた部分は飴色表面を維持したままとなります。二つとして同じものはないその濃淡や配置は世代を超えた時間が創り出す傑作とも言えます。
女竹 Medake
直径2センチ程度、高さ5メートル程度の小型の竹。国内にも生息しますが、市場に出回る女竹の多くは中国産です。比較的安価なため、園芸用の支柱等にしばしば用いられます。
角竹 Kakuchiku
その名が示すように、断面が四角い竹。短く柔らかいタケノコのうちに四角い木枠をはめると、その形状に沿って成長した角のついた竹が生まれます。木枠が小さすぎると竹の表面が凹んだものになってしまい、逆に大きすぎると通常の丸竹に近いまま成長してしまうことから、タケノコのうちにその将来を見通し最適な木枠を選ぶ目によって美しい角竹が創り出されます。
孟宗青竹 Mousouaodake
江戸時代に中国より伝わったとされる大型の竹。真竹よりも肉厚で大きく成長するものが多く、図面竹・胡麻竹・角竹は孟宗竹に手を加えることで生まれます。市場に出回るタケノコの多くは孟宗竹のものです。
亀甲竹 Kikkouchiku
自然の進化の過程で生まれた、亀の甲羅を思わせる独特の形状が特徴的な竹。京都特産と言われる亀甲竹の斜めに連続する節目の造形美は、庭園で観賞用として重宝される他、床柱・結界・落掛などとしての装飾、また花器などの茶道具としても楽しまれます。テレビドラマ「水戸黄門」に登場する杖としても知られている印象に残りやすい竹です。